「家族が身体障害者手帳の2級になった。でも、2級ってどのくらい大変なの?」
「職場の人が精神の手帳の3級だと聞いたけれど、どんなことに困っているんだろう」
「要介護3って、何ができて、何ができないの?」
手帳が「体・知的・心」の3種類あることは知っていても、その先の「等級や区分で、その人がどんな状態なのか」は、なかなか知られていません。この記事では、国や札幌市が決めている基準をもとに、等級ごとの状態を、できるだけふつうの言葉でまとめました。
この記事でわかること
- どんな障がい・病気が、どの手帳になるか
- 目・耳・手足・内臓の障がいは、等級でどんな状態か
- 知的障がい(療育手帳)と、心の障がい(精神の手帳)の区分・等級
- 介護の「要支援・要介護」は、どんな状態か
- 手帳の等級・障害年金の等級・障害支援区分・要介護度のちがい
- 障害年金・障がいの手当・生活保護の障害者加算は、どこから、いくら
1. どんな障がい・病気が、どの手帳になる?
| 障がい・病気の例 | 手帳 |
|---|---|
| 目、耳、声・言葉、かむ・飲み込む、手足・体、心臓・じん臓などの内臓 | 身体障害者手帳(1〜6級) |
| 知的障がい | 療育手帳(札幌市では A・B・B-) |
| うつ病、躁うつ病(双極性障害)、統合失調症、てんかん、依存症、発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害など)、高次脳機能障害(事故や脳の病気のあとに、覚える・集中する・段取りを立てることが難しくなる障がい)、若年性認知症 など | 精神障害者保健福祉手帳(1〜3級) |
発達障害と知的障がいの両方がある人や、事故のあとにまひと高次脳機能障害の両方がある人など、2つ以上の手帳を持っている人もいます。
どの手帳も、数字が小さいほど(療育手帳ではAに近いほど)、障がいが重いことを表します。
難病の場合は、障害者手帳を持っていなくても、国が決めた対象の病気であれば、医師の診断書などで障害福祉サービスを使える場合があります。対象の病気は見直されることがあるので、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口(札幌市では区役所の保健福祉課)で確認してください。
2. 身体障害者手帳:等級で、どんな状態?
身体障害者手帳の等級の基準は、国が決めていて、全国どこでも同じです。障がいの種類ごとに、代表的な基準をまとめました。
目の障がい(視覚障害)
メガネやコンタクトレンズをつけた視力で判定します。見えやすい方の目の視力で、おおまかにこう分かれます。
| 等級 | 見えやすい方の目の視力(代表的な基準) |
|---|---|
| 1級 | 0.01以下 |
| 2級 | 0.02〜0.03 |
| 3級 | 0.04〜0.07 |
| 4級 | 0.08〜0.1 |
| 5級 | 0.2で、もう片方の目が0.02以下 |
| 6級 | 0.3〜0.6で、もう片方の目が0.02以下 |
視力0.1とは、ふつうの視力の人が10メートル先から見分けられるものを、1メートルまで近づかないと見分けられない、ということです。4級でも、メガネをかけてこの見え方です。
視力だけでなく、見える範囲(視野)がせまい人も対象です。視力はあっても、見える範囲がストローをのぞいたようにせまく、足元の段差や横から来る人に気づきにくい、という人もいます。

耳の障がい(聴覚障害)
| 等級 | 聞こえの状態(基準より) |
|---|---|
| 2級 | 両耳とも、まったく聞こえない |
| 3級 | 耳もとで話さないと、大きな声でも聞き取れない |
| 4級 | 耳もとで話さないと、ふつうの声が聞き取れない |
| 6級 | 40センチ以上はなれた会話が聞き取れない |
耳の障がいには1級と5級がありません。6級でも、テーブルをはさんだ会話が聞き取れない状態です。まわりが騒がしいと、さらに聞き取りにくくなります。
体のバランス(平衡機能障害)
- 3級:目を閉じると立っていられない、または目を開けて歩いても10メートル以内で倒れる
- 5級:目を閉じてまっすぐ歩くと、10メートル以内で倒れる
声・言葉、かむ・飲み込むこと
- 3級:声がまったく出ない、言葉でのやりとりができない。または、口から食べられず、管で栄養をとるしかない
- 4級:声や言葉の障がいで、話して気持ちを伝えることが難しい。または、かむ・飲み込むことに大きな障がいがある
手足・体の障がい(肢体不自由)
手足や体の障がいは、どこが、どのくらい動かないかで細かく決められています。代表的な例です。
- 体(体幹)1級:いすに腰かけることも、正座やあぐらもできない
- 体(体幹)2級:座ったり立ったりした姿勢を、10分以上保てない
- 体(体幹)3級:100メートル以上歩けない
- 両足1級:両足がまったく動かない
- 片足3級:片足がほとんど動かず、体を支えられない
- 片足4級:1キロ以上歩けない、30分以上立っていられない
- 片腕2級:片方の肩・ひじ・手首・指が、すべて動かない
内臓の障がい(内部障害)
心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう・直腸、小腸、免疫(HIV)、肝臓の障がいです。等級は、おおまかに次のように分かれます。
| 等級 | 生活のようす(基準より) |
|---|---|
| 1級 | 着がえや食事など、身の回りのことをするのも、極度に制限される |
| 3級 | 家の中での生活が、大きく制限される |
| 4級 | 外出や仕事など、社会での生活が、大きく制限される |
心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう直腸・小腸には、2級と5〜6級がありません(免疫と肝臓には2級もあります)。
たとえば、人工肛門や人工膀胱(ストマ)を1つつけている人は4級、両方つけている人は3級が基準です。じん臓の障がいで人工透析を受けている人は、1級に認定されることが多いです。見た目は元気そうでも、週に何回も長い時間の透析に通っている、という人もいます。

3. 療育手帳:区分で、どんな状態?
療育手帳は、国の法律ではなく、都道府県や札幌市のような大きな市が、それぞれ決めている手帳です。そのため、区分の名前や分け方が、地域によってちがいます。
| 札幌市の区分 | 知的障がいの程度 |
|---|---|
| A | 最重度・重度 |
| B | 中度 |
| B- | 軽度 |
ほかの地域では、たとえば埼玉県は「マルA・A・B・C」の4つ、東京都では手帳の名前が「愛の手帳」です。引っこしてきた人の手帳は、区分の名前がちがうことがあります。
同じ区分でも、読み書きや計算、お金や時間の管理、人とのやりとりなど、どこに苦手さがあるかは人によってちがいます。「軽度」でも、たとえば買い物のおつりの計算や、書類の手続きに手助けがいる人もいます。
4. 精神障害者保健福祉手帳:等級で、どんな状態?
精神の手帳の等級は、病気の状態と、日常生活や社会生活にどのくらい支障があるかの両方から決められます。国の基準を、ふつうの言葉にするとこうなります。
| 等級 | 生活のようす(基準より) |
|---|---|
| 1級 | 人の手助けがないと、身の回りのことがほとんどできない |
| 2級 | いつも人の手助けがいるわけではないが、日常生活がかなり難しい |
| 3級 | 日常生活や、働くことなどの社会生活に、制限がある |
心の病気は、調子のいい日とつらい日の波があることが多いです。「昨日はできていたのに、今日はできない」ということも、めずらしくありません。3級の人でも、たとえば「毎日決まった時間に出かけるのが難しい」「人の多い場所に行くと、ひどく疲れてしまう」など、外からは見えない困りごとを抱えていることがあります。

精神の手帳は、2年ごとに更新が必要です。
5. 介護の「要支援・要介護」は、どんな状態?
「介護手帳」という名前を聞くことがありますが、介護のための手帳は、正式にはありません。介護の場合は、介護保険の「要介護認定」を受けて、介護がどのくらい必要かの区分が決まります。結果は、介護保険の保険証に書かれます。
区分は、要支援1・2と、要介護1〜5の7段階です。認定では、1日あたりにどのくらいの介護の手間がかかるかを、決められた方法で時間にして計算します。区分と、その時間の目安は次のとおりです。
| 区分 | 介護の手間の目安(1日あたり・計算上の時間) |
|---|---|
| 要支援1 | 25分以上32分未満 |
| 要支援2・要介護1 | 32分以上50分未満 |
| 要介護2 | 50分以上70分未満 |
| 要介護3 | 70分以上90分未満 |
| 要介護4 | 90分以上110分未満 |
| 要介護5 | 110分以上 |
この時間は、実際に家で介護している時間ではなく、区分を決めるための「ものさし」です。要支援は、身の回りのことはおおむね自分でできるが、今より悪くならないように支えが必要な状態。要介護は、入浴やトイレ、食事などに、いつも介護が必要な状態です。数字が大きいほど、介護の手間が大きくなります。
介護保険の認定を受けられるのは、65歳以上の人と、40〜64歳で国が決めた16の病気(がんの末期、関節リウマチ、脳梗塞などの脳血管疾患、初老期の認知症、パーキンソン病など)が原因の人です。障害者手帳と介護の認定の、両方を持っている人もいます。
申請の窓口は、障害者手帳も介護の認定も、お住まいの市区町村です(札幌市では、区役所の保健福祉課)。
6. まぎらわしい4つの「数字」
障がいや介護の「何級」「区分いくつ」には、手帳の等級のほかにも、別の制度の数字があります。名前が似ていて、よくまちがえられます。
| 数字 | 何のためのもの | 数字の向き |
|---|---|---|
| 障害者手帳の等級 (身体1〜6級・精神1〜3級) |
障がいの種類と程度を表す | 小さいほど重い |
| 障害年金の等級 (1〜3級) |
障害年金を受け取れるか、いくら受け取れるかを決める | 小さいほど重い |
| 障害支援区分 (区分1〜6) |
障害福祉サービスで、どのくらい支援が必要かを表す | 大きいほど支援が必要 |
| 要介護度 (要支援1・2、要介護1〜5) |
介護保険で、どのくらい介護が必要かを表す | 大きいほど介護が必要 |
手帳の等級と、障害年金の等級は別もの
いちばん多い勘ちがいが、これです。障害年金の等級は、障害者手帳の等級とは別の基準で決められます。「手帳が2級だから、年金も2級」とは限りません。手帳を持っていなくても、障害年金を受け取れることもあります。
障害年金の3級は、厚生年金に入っていた人(会社などで働いていたときに、はじめて病院にかかった人)だけのものです。
障害支援区分は「支援の必要さ」
障害支援区分は、ヘルパーなどの障害福祉サービスを使うときに、市区町村の調査と、医師の意見書をもとに決まります。障がいの重さではなく、「その人に、どのくらいの支援が必要か」を表す数字です。手帳の等級とは数字の向きが逆で、区分6が、いちばん支援が必要な状態です。
7. 障がいのある人が受け取れるお金は、どこから、いくら?
障がいのある人が受け取れるお金には、大きく分けて3つあります。出どころ(どこの制度か)も、窓口もちがいます。
| お金 | どこの制度か | 窓口 |
|---|---|---|
| 障害年金 | 国の年金 | 年金事務所、または市区町村の年金の窓口 |
| 障がいの手当 | 国の制度(お住まいの自治体が支給) | 市区町村の障害福祉の窓口(札幌市では区役所の保健福祉課) |
| 生活保護の障害者加算 | 生活保護 | 福祉事務所(札幌市では区役所の保護課) |
障害年金(2026年4月分からの金額)
| 等級 | 1年あたり | 1か月あたり(目安) |
|---|---|---|
| 障害基礎年金 1級 | 1,059,125円 | 約88,000円 |
| 障害基礎年金 2級 | 847,300円 | 約70,600円 |
昭和31年4月1日以前に生まれた人は、少し金額がちがいます。子どもがいる場合は、加算があります。厚生年金に入っていた人は、これに障害厚生年金が上乗せされ、金額は、それまでのお給料などによって一人ひとりちがいます(3級は障害厚生年金だけです)。
障がいの手当(2026年4月分からの月額)
| 手当 | 対象 | 月額 |
|---|---|---|
| 特別障害者手当 | 20歳以上で、とても重い障がいがあり、ふだんの生活でいつも特別な介護が必要な人 | 30,450円 |
| 障害児福祉手当 | 20歳未満で、重い障がいがあり、ふだんの生活でいつも介護が必要な子ども | 16,560円 |
| 特別児童扶養手当 | 障がいのある20歳未満の子どもを育てている親など | 1級 58,450円 2級 38,930円 |
手当は、毎月ではなく、数か月分がまとめて振り込まれます。本人や家族の所得が一定より多いときは、受け取れません。特別障害者手当は、施設に入所している人や、病院に3か月をこえて入院している人は対象外です。障害児福祉手当は、障がいを理由とした年金などを受け取れる子どもは対象外です。
手当の対象になるかどうかは、手帳の等級だけでは決まりません。医師の診断書をもとに、障がいの状態で判断されます。たとえば、目の障がいと手足の障がいが重なっているなど、とても重い状態の人が対象です。
生活保護の障害者加算
生活保護を受けている人で、障がいのある人(身体障害者手帳の1〜3級程度、障害年金の1・2級を受けている人など)には、生活保護費に「障害者加算」が上乗せされます。生活保護の金額は住んでいる地域によって少しちがいます。札幌市の金額(2026年7月からの基準、月額)は次のとおりです。
| 障がいの程度 | 家で暮らしている人 | 入院・施設に入所している人 |
|---|---|---|
| 身体障害者手帳1・2級程度 | 27,460円 | 22,850円 |
| 身体障害者手帳3級程度 | 18,300円 | 15,230円 |
とても重い障がいがあり、いつも介護が必要な人には、さらに「重度障害者加算」(月16,560円)が上乗せされることがあります。どの加算になるかは、手帳や年金の等級、障がいの状態で判断されます。自分から申し出ないと加算されないことがあるので、担当のケースワーカーに確認してください。
生活保護を受けている人が、障害年金や手当を受け取ると、その分は収入として扱われ、生活保護費が調整されるのが基本です。くわしくは、お住まいの福祉事務所(札幌市では区役所の保護課)で確認してください。
8. 等級だけでは分からないこともある
等級や区分は、その人の状態を知る手がかりになります。でも、同じ等級でも、困りごとや、できること・苦手なことは一人ひとりちがいます。同じ視力でも、生まれつきの人と、大人になってから見えにくくなった人とでは、困りごともちがいます。
その人が何に困っているのかは、等級より、その人自身や、そばにいる家族のほうがよく知っています。
等級を知ると、その人に一歩近づける
- 身体障害者手帳(1〜6級)と精神の手帳(1〜3級)の基準は全国共通。療育手帳の区分は地域でちがい、札幌市はA・B・B-
- 目の4級でも、メガネをかけて視力0.1以下。耳の6級でも、40センチはなれた会話が聞き取れない
- 内臓の障がいは、1級が身の回りのこと、3級が家の中、4級が外や仕事での生活に大きな制限がある
- 精神の3級でも、外からは見えない困りごとを抱えていることがある
- 「介護手帳」はなく、介護は要支援1・2と要介護1〜5の7段階の認定
- 手帳の等級と障害年金の等級は別もの。障害支援区分と要介護度は、数字が大きいほど支援や介護が必要
- 難病は、手帳がなくても障害福祉サービスを使える場合がある
- 受け取れるお金は、障害年金(国の年金)、障がいの手当(国の制度・お住まいの自治体が支給)、生活保護の障害者加算の3つ。出どころも窓口もちがう
障害者手帳で使える割引や助成については、「障害者手帳で使える割引・助成まとめ」でも紹介しています。
ハコブネにも相談できます
ハコブネ平岸(就労継続支援B型=自分のペースで働ける場所)と、外出支援サービス ハコブネ(移動支援・同行援護)では、「手帳のことがよく分からない」「どのサービスが使えるか知りたい」というご相談も受け付けています。相談支援専門員がまだいない方も、そのままご連絡ください。
※この記事の等級や区分の説明は、国や札幌市の基準の代表的な部分を、分かりやすい言葉に置きかえたものです。実際の判定は、医師の診断書などをもとに行われます。制度の内容は変わることがあるので、くわしくは、お住まいの市区町村の窓口(札幌市では区役所の保健福祉課)でご確認ください。(2026年9月時点の情報です)
